2010年12月1日水曜日

藤壺 KIKKO

クッション封筒です。


















特徴は、普段は通常の封筒のように薄く、物を入れた時にだけ内部のシートが膨らんでクッションになること。
膨らんでクッションになるシートは紙でできています。
つまり、分別廃棄の必要の無い、全て紙で出来たクッション封筒というわけです。
現在使われているクッション封筒の緩衝材の多くがポリエチレン等の石油製品です。
これを再製可能な素材である紙に代えることはできないだろうかと考えました。
切り込みを施した紙を緩衝材に使用する事は、食器等を購入した時に包む場合などで既に使われています。
薄い紙であっても、引き伸ばすことによって立体網目構造のクッションに
なる事はご存知のとおりです。




















下の動画のように「中にCDを入れる」という動作を、クッションの変形に利用したのです。
CDを押し込むと、中のシートが変形するのがご覧になれると思います。
















封筒にCDを押し込んだ様子を口の方から覗いてみます。
中のシートが変形しているのが確認できます。
ちょうど亀甲網のような六角形になっていますね。

















下のように封をしてしまうと、封筒を開封するまでクッションが変形状態を保ちます。
内部でのクッションの状態は立体網目構造、ちょうどエキスパンドメタルのようにかなりの剛性があります。
しかし弾性変形の範囲なので、封筒を開封するともとのシート状態になり、薄い封筒に戻ります。
















私自身、常々感じていたのがクッション封筒をストックしておく場合にかさばること、そしてあのプチプチくんの処理でした。
折り紙に代表されるように、「紙を変形させて物を作る」という文化が日本にはあります。
それを日常生活に取り入れる一例だと思っています。

この封筒は「KIKKO」という商品名で株式会社マルアイさんから発売されています。
内部のクッションが変形した状態が、ちょうど亀甲模様のように六角形になっているところから命名されました

2010年10月8日金曜日

弓町銀座 溜まりや八

銀座2丁目の「ベルビア館」、その7階です。
夢屋の店舗としては初となるインショップです。



















神保町で営業している「カギロイ」を出店して欲しいというのが三井不動産様の希望でした。



















歴史のある建物をリノベーションして造ったカギロイを、ここで再現可能なのかという事が最大の争点となりました。

五感に訴える「懐かしさ」が果たしてできるのか。





















2010年9月30日木曜日

骨太フレンチ ビストロアリゴ

神保町の路地裏に完成したビストロです。
元氷屋さんだった古民家を流用しています。

















この店も、すっかり神保町の風景になりました。
料理と酒(ワイン)はフランスに特化しています。
ワインやフレンチというものを大衆酒場的にできないだろうか、という考えで挑みました。


1階は大幅に改修しましたが、2階の元住宅はほぼそのまま。
直前まで住まいとして使われていたおかげで、状態が非常に良かった事が幸いしています。

















私のお気に入りは、自分でオイル塗装したウォールナット天板のカウンター席です。
あえてワトコオイルを使わず、亜麻仁油で仕上げました。
木場の銘木屋さんで探した材ですが、白タイルと相まって、元氷屋さんの店舗空間に違和感無く収まっています。
様々な思惑とは別に、皆さんが楽しそうに飲んでる姿を見ていると、やっぱり幸せになりますね。











































2010年1月30日土曜日

桜東風 /さくらごち

京都花灯路」というイベントがあります。
毎年12月には嵐山、3月には東山で、散策路に路地行灯を設置し、灯りに浮かぶ夜の京都を堪能できるというものです。
このイベントに伴って、昨年から「創作行灯デザインコンペ」なるものが始まりました。
今回(2009年度)は、その第2回目になります。

元々照明デザイナーでもありますし、昨年の「建築家のあかりコンペ/日本のあかり」にひきつづきデザインしてみました。
最優秀賞をいただくと、量産され、3月の「京都・東山花灯路」に設置されるとの事
これは、やる気も出てきます。

この3月というシーズンを踏まえ、桜をモチーフにする事に決定。
京都の伝統工芸技術を使いながらも、いままでにないデザインを、と考えました。
昔の蝋燭の行灯のように「動きのある行灯にしたい」という願望もありました。
以前見た、茶筅づくりの技、竹を手で細く割いてゆき、熱を加えて微妙に曲げる技術で「桜」を描けたら。
細く割いた竹ですし、風が吹けば「光の花」が揺れるはずです。
名前は春の季語「桜東風-さくらごち-」としました。


















結果は最優秀賞には届きませんでしたが、優勝賞をいただきました。